バレエの指導内容に新しい知識や客観的事実を取り入れたいとお考えの方に、下記のテーマで講義を行います。
対象:現役バレエ教師およびバレエ教師志望の方
今までに取り上げたテーマ&今後取り上げる予定のテーマ
【講義】オブザベーション1 教師の観察眼
現時点で何が見え、何が見えていないか生徒を観察する力を確認して頂くために、複数のアマチュア・バレエダンサーの踊りを観察し、未熟な点やその原因を指摘したうえで、必要なアドバイスと改善のためのレッスンを受講生自身が構成します。
【講義】発達段階に応じたレッスン構成 子供へのアプローチ/大人へのアプローチ
幼児から大人にかけて、吸収できることとできないことは変化していきます。また、成長の仕方によっては一時的に実力が低下することもあります。この点を考慮せずにレッスンを構成し、子ども向けのレッスンを大人にしたり、大人向けのレッスンを子どもにしていると無駄が多く、場合によっては故障を招く恐れがあります。この講義では、どの年齢では何が身に付きやすく、何が無駄になりやすいのか、あるいは何が危険なのかなどについて解説します。さらに、生徒の集中力を途切れさせない指導法(課題の内容、操縦法)を紹介します。
【講義】急伸期と思春期の指導法 肉体的変化と心理的傾向の把握と対処法
急伸期を迎えた生徒の中にはレッスンの有無に関わらず踊りが上達しなくなることがあります。この状況が精神的に不安定になりがちな思春期と重なることにより、自分の体だけに留まらず、生徒間の実力分布の変化や受験などに対応できず、心理的に追い込まれてしまうことも珍しくありません。この講義では、この時期特有のレッスン内容の修正を個別に設計することができるように、これらのメカニズムと避けるべきバレエのステップについて、また思春期と上達時機の関係について解説します。
【講義】バレエ教師のためのターンアウト 本質的意義と基礎解剖
なぜターンアウトをするのか、なぜターンアウトができないのか、なぜ調べたときと踊っているときとではターンアウトに大きな差が生じるのか、などについて筋肉・骨格・靭帯別に解剖学的に解説します。また、年齢とともに変化するターンアウトのやりやすさの傾向を理解したうえで、年齢に応じた目標設定の仕方を説明します。さらに、完璧なターンアウトと基本姿勢やポジションとのバイオメカニクス的関係についても説明します。
【講義】バレエ教師のためのポワント基礎解剖 理想の立ち方と個人差に応じた修正法
必要最小限の力でポワントで立つにはアライメントを整えることが必須です。この講義では、アライメントが整った状態とは解剖学的にどう説明されるのか、どの筋肉を使いどの筋肉を使うべきではないのかなどについて解説します。これに基づき、アライメントを整えようとしても整わない場合の予想される原因とその調べ方および対処法について説明します。また、ポワントで立ちに行く際の足首の角度と立ちやすい骨盤の向きについて解説します。
【講義】なんちゃってターンアウトにともなう不可避な現象 つま先から頭頂まで
いわゆるなんちゃってターンアウトは膝とつま先のアライメントのズレで説明されることが多いですが、実際にはつま先から頭頂までのアライメントが複雑にズレた状態を指します。そのため意思に反して体は安定性を失います。教師がどこがどうズレるかを認識していないと、目に付きやすい現象(かま足、膝曲がり、いかり肩等)に対して直接指導してしまいがちです。しかし原因は別なところにあるためいつまでたっても現象は消えず、同じ指示が繰り返えされ、生徒は「上達していない」と誤解してしまうことになります。この講義では、なんちゃってターンアウトに起因するさまざまな現象をつま先から頭頂まで体の部位別に体験し、そのメカニズムを説明します。これを理解すると、バーとセンターでの実力差を少なくさせることができます。
【講義】カスタマイズド・ポジション 導入および注意点
既存のメソッドは、解剖学的に選び抜かれた体を前提にしています。海外の一流バレエ学校と同様の基準で生徒を選抜していない教室では前提条件が異なるため、既存メソッドをそのままの形で教えると生徒は必要以上に肉体的負担を強いられることになり、表現力の向上が妨げられます。前回までの講義内容の集大成として、足のポジションを中心に生徒個々人に適するように既存メソッドを改良して指導するポイントを講義します。
【エクササイズ】ターンアウトとポワントのエクササイズ
理想的なターンアウトに近づけるためのエクササイズとして、筋肉の緊張度を適性値へ導くものと、筋肉や靭帯を長くするためのものを紹介します。また、足裏の筋トレなどの強化エクササイズをしてもポワントでしっかり立てるようにならない場合に用いるエクササイズを紹介します。
【講義】オブザベーション2 教師の観察眼
第1回のアマチュア・バレエダンサーの踊りを再び観察し、第2回以降の講義で得た知見をもとに未熟な点やその原因を指摘したうえで、必要なアドバイスと改善のための指導計画を設計します。教師としての観察眼がどの程度鍛えられたかを確認し、今後の課題を見つけます。
【講義】表現者としてのバレリーナを育てるレッスン構成法 バレエの構成要素、レッスンの質と量
アレグロ中心の技術習得に偏ったレッスンや難易度の高いステップを早期から習得させようとするレッスンでは表現者としてのバレリーナの育成は望めません。この講義では、バレエとは何かを問い直し、バレエの構成要素を多岐にわたって再確認します。そのうえで各生徒の個性を生かしつつバレリーナとしてそれらを体系的に体得できるようにするための具体的な指導目標の設定の仕方を考察します。
【講義】手足の長い生徒に育てる生活指導
バレエダンサーとして望まれる身体条件の一つに長い手足があります。身体作りに対して、一般にストレッチや筋力トレーニングなどの指導はなされても、身長や手足の長さについては自然任せにすることが多いようです。本講義では、最終的な身長や手足の長さを後天的にコントロールする生活指導のポイントを解説します。また、中学受験がバレエの上達に与える影響について、成長の三大要素をキーワードに整理します。
【エクササイズ】深部感覚エクササイズ
「やっているつもりのことと、実際にやっていることの差」が大きくなる原因の一つに「深部感覚の鈍さ」があげられます。今回は、深部感覚が年齢とともにどのように発達し老化していくのか、鈍くさせる要因は何かなどについて解説し、感度を高めるエクササイズを紹介します。
【エクササイズ】ポワント力評価エクササイズ
いつポワントを履き始めるかは、年齢や経験年数、バレエシューズでの実力だけでは決まりません。早い方がよいと小学校低学年から履かせては足の変形や故障を招く可能性が高くなりますし、発達の状況によっては中学生でも早過ぎとなることがあります。かといって全員が中学生から始めては遅すぎとなる生徒も出てきます。本講義では、海外の主なバレエ学校のポワント開始年齢やポワント開始時期の判断基準を比較し、甲の強さ、バランス力、引上げ力などを評価する方法を提示します。
【講義&エクササイズ】つま先と下肢のコントロール
バレエ・シューズ、ポワント・シューズに関わらず、バランスの取りにくさやポーズの決めにくさを感じる場合、つま先や下肢のどこかに思うように力が入らなくなっていることがあります。そのような身体の状況の調べ方と、その場で力を出せるようにするためのエクササイズを学びます。
【講義】身体の歪みとバレエの上達 随意的アプローチの限界、脱力の必要性
ほとんどのダンサーは、関節可動域、ポーズの決めやすさ、バランスの取りやすさなどに左右差があります。言い換えると、踊りにくさがあります。一般に踊りにくさを克服するには反復回数を増やしたり、より力を入れたりといった随意的なアプローチが試みられます。しかし、体の動きは随意的な制御と不随意的な制御を並行して受けているため、随意的なアプローチだけでは生徒の実力を最大限に引き出すことは難しくなります。本講では、この限界を越えられるよう、骨格筋の不随意的側面について踊りと関連付けて解説します。
【エクササイズ】フロア・バーとゴムを使ったエクササイズの導入法
バー・ワークやセンター・ワークでは、バレエの動作をするための筋肉の活動を感じることはそれほど容易ではありません。そのようなとき、フロア・バーが有効です。また、より少ない筋肉活動で目的とする動作を達成できた方が、身体の使い方としては経済的であり、必要以上に筋肉を使わない分、筋肉が太くなることが避けられます。そのような身体の使い方を得るには、深層筋で身体をコントロールできる能力が重要になります。この講義では、フロア・バーと、深層筋を整えるためのゴムを使ったエクササイズを学びます。
【講義】ストレッチの効果と限界 運動生理学的解説
言うまでもなくストレッチは有効ですが、誰もが同じ結果を得られるわけではありません。これは個人差によるところもありますが、ストレッチ効果を得るための条件が満たされていないことや、そもそもストレッチすべき筋肉が的外れになっていることも原因しています。この講義では、なぜストレッチをすると筋肉が伸びるのか、なぜ失敗すると可動域が狭くなってしまうのか、より安全で効果的なストレッチはどのようなものか、年齢によって変えるべき点は何なのか、最新のストレッチはどのようなものかなどについて解説します。
【エクササイズ】より高いグランバットマンが得られる即効ストレッチおよび四肢の協調と関節の解放
通常のストレッチよりはるかに安全で、筋肉を緩ませる効果も同様に得られるくつろぎストレッチを紹介します。このストレッチは原理がわかれば全身の関節に応用することができます。今回は全身の動きに対するくつろぎストレッチのほかに、グラン・バットマンなどで顕著に自覚できる股関節の可動域(前・横・後)を改善させるくつろぎストレッチについても紹介します。 動作の種類に関わらず、踊りにくさ(体の歪み)を軽減するエクササイズを紹介します。また、ピルエット前の4番のプリパレーションで手足が左右交差したり、左足ルティレで右足と右手が伸びたりする場合、いずれも手足の協調が必要ですが、調べてみるとこの原始的な四肢の協調がスムーズでないことが珍しくありません。このような手足の協調性を回復させるエクササイズも紹介します。
【講義】ダンサーのための音楽指導
どんなに脚が高く上がっても、どんなに難しいステップがこなせても、音楽的要素が欠落していると芸術性が乏しい踊りになってしまいます。この講義では、技術は音楽センスを向上させ、音楽センスは技術を向上させるとの認識に立ち、踊りに必要な音取りの基本要素であるリズム、テンポ、タイミングに加え、バレエ団の階級に応じた要求内容の違い、それらを指導する際のポイントを学びます。
【講義】世界的なバレエ学校のシステムと指導内容からわかること
世界的なバレエ学校の教育システム、社会との関わり、主な選考基準と基本ポジション・姿勢・逆鎌の関係、将来性の予測、選考のメリットとデメリット、発達段階に応じて難易度と完成度を高めるカリキュラムの実際などについて考察します。またバレエ団での役割分担とそれに応じた踊りの特徴を理解することにより、「プロ」を目指す小中学生の生徒が主役の技術を習得しようとする前に習得しておくべき課題が再確認できます。
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